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2011.03.10 朝日新聞:花の御所・立体CGに


朝日新聞 朝刊 平成23年(2011年)3月10日(木)

花の御所・立体CGに

卒業制作として指導していたメディアデザイン学科・北之園未来の卒業制作「花の御所復元プロジェクト」が記事になる。室町時代の足利家の邸宅である「室町殿」は、これまで再現されていないが、その暮らしぶりを3次元コンピューター・グラフィックスを用いて再現した。
(記事)
庭に川が流れ、花が咲き乱れる。その華やかさから「花の御所」と呼ばれた室町時代の足利家の邸宅「室町殿(むろまちどの)」での暮らしぶりを京都嵯峨芸術大生が3次元コンピューター・グラフィックス(3DCG)で「再現」した。構造に関する詳しい資料が少なく、復元図が描かれてこなかったが、設計の知識と創造力で大胆なCGアニメを描いた。
青くたなびくかすみの下、会所で雅楽に興じる人たち。咲き誇った桜の木の横には、十二ひとえ姿の女性がたたずむ――。同大メディアデザイン学科4年の北之園未来さん(21)が再現した室町殿の様子だ。源氏物語絵巻のように、屋根を描かず上空から部屋をのぞき見る手法を採用。当時の日本人の美意識や時間感覚を投影させた。
設計やCGを学んだ北之園さんは、4年の進級試験で大覚寺(右京区)をCGで再現。現地で格子の数や障子の厚さなどを調べて作り上げた。しかし、現存する建物をCGにするだけでは物足りないと感じ、卒業制作には今はない建物を選んだ。
室町幕府3代将軍・足利義満が1378年に建てた室町殿は、荒廃と再建を繰り返しながら長く足利家の邸宅として使われた。上京区の同志社大の寒梅館(旧大学会館)周辺に位置し、発掘調査で建物の周辺を囲む堀や建物跡などが見つかっているが、詳しい構造は明らかになっていない。
「わからないからこそ自分の研究と創造力が生きる」。北之園さんは、義満が建てた鹿苑寺(金閣寺)や室町殿と同時代に建てられた建築の構造を学ぶなどしてCGアニメを制作。2月にあった大学の卒業制作展では手作りの大型のスクリーンに披露した。ゆっくりと映像がスライドしていく巨大絵巻物のような空間が観客を引き込み、作品は最優秀作品に選ばれた。
「考古学では確実な物証がでないと、復元図は描けないが、私は芸大生。それを強みに思い切って復元しました」と北之園さんは話す。
指導にあたる大森正夫教授=建築設計学=は、「建築や設計を学ぶ人は日本の伝統建築より、西洋の建築に関心が向きがち。日本や京都の建築は意外に手つかずのものが多く、この研究は意義がある」と話す。
京都の歴史と建築の構造を研究しながら制作したプロセスと作品の解説が記載されています。

http://mytown.asahi.com/kyoto/news.php?k_id=27000001103100001