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2014.09.28 学会発表:「作法としての空間意匠-月待ちの日本美-」
2014年9月28日(土) 13:00-17:45
第219回意匠学会研究例会
月待ちの意匠 〜銀閣の設計手法における東山文化の美意識
発表概要
室町文化、とりわけ東山文化は日本の諸藝術に多大な影響を与え、今日の日本人の美意識や趣味の形成において極めて大きな存在である。東山時代とは、室町幕府第8代将軍足利義政が東山山荘へと移住してから没するまでの短い期間(1483〜1490)であるが、それは義政の趣味に基づいた芸術文化が大きく発展し、後世の日本人の心の奥底に「記憶」させる日本的美意識を確立させた時代に他ならない。 特に、現在でも継承されている連歌俳諧、茶の湯、いけばな、聞香、能楽、床の間、畳、築庭、精進料理など、諸処の文化活動に新鮮な局面を開いたこれらのものはすべて東山文化を代表するものである。そして、「わび」「さび」「幽玄」などを特徴とする表現には、客観的写実性より主観的象徴性が相応しいとされ、ここで築かれた藝術観は、近代化やグローバリゼーションの中でも色褪せる事なく日本人の心の「記憶」として生き続けているのである。しかし、その神秘的な言説に拠る故か、文献的資料や遺構建造物の不足に拠る故かは定かでないが、室町文化の粋を成した東山文化の発信源である東山殿(遺構としての「銀閣とその園池」)の意匠学的観点からの研究は乏しく、国宝・銀閣の建立意図させも解明されていなかった。 そこで、造形上の特徴を顧みる前に、日本文化が生み出す諸藝術の根幹を成している「作法」や「躾」などからくる美意識、すなわち伝承的に習慣化した身体感覚での使われ方や見方などを拠り所に諸処の意匠や空間配置を捉え直すことによって、東山殿の藝術性が垣間見えてきたのである。 日本人は万葉集を繙くまでもなく、月への思いが尽きない。
「わが庵は 月待山の麓にて 傾く空の 影をしぞ思う」 足利義政が詠んだ一首である。この歌を詠んだ当時の面影は、銀閣と東求堂とわずかに残る苑池しか残っていないが、この質素な造りの建造物から、文化行事としては非常に重要な「観月の宴」に込めた美意識が蘇ってきたのである。 本発表では、観月CGシミュレーションから東山殿での空間構成を解説する。
<日時>
平成26年9月28日(日)*本例会は日曜日となっていますので、ご注意ください。
研究発表 午後2時00分〜4時00分
研究発表懇談会 午後4時00分~5時30分
<会場>
大阪工業大学うめきたナレッジセンター(グランフロント北館9階)
〒530-0011 大阪市北区大深町3-1 グランフロント大阪ナレッジキャピタルタワーC9階