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2015.04.15 京都新聞:進化する琳派・羽裏展
琳派400年記念祭事業
「羽裏」密かに楽しむ粋・洒落・数寄の美学『進化する琳派・羽裏展』の記事。
羽織の裏に妖しい美 幽霊・骸骨・男女の指…
着物の上にまとう羽織の裏地「羽裏(はうら)」は、普段は隠れていながら脱ぐ際にちらっと見える部分に斬新な柄が使われた。琳派の影響も受けたとさ れる羽裏の美を現代の芸術家たちが表現した作品展が、京都市上京区浄福寺通上立売上ルの織成舘別館岩上ホールで開かれている。魚、幽霊、骸骨、指などを描 いた約70点が掲げられ、「裏」ならではの遊び心に満ちた世界を楽しめる。
■琳派400年、京都で現代作家ら表現
琳派400年記念祭の一環で手織技術振興財団(同区)が開いた。江戸時代には、羽織を着る人のセンスでさまざまな裏地が楽しまれ、大胆な構図や装飾性を取り入れた琳派の模様は特に富裕な町民や武家で重用されたという。
会場には、建築家や染色家、グラフィックデザイナーら特別招待作家5人の作品と、京都を中心とする芸術系6大学の学生らの作品62点を展示している。特別 招待作家による5点は、格子戸越しに見る桜や緩やかな曲線を使った幾何学模様、もつれ合う男女の指などが描かれ、想像力を刺激する。
若手の作品では、碁盤の目の上に鳥居や千鳥などを並べて京都を表した柄や、都市の写真のコラージュ、電車から降りようとする顔のない幽霊の絵などが並び、その自由な発想に引き込まれる。
審査で大賞に決まった染色作家松本圭祐さん(27)=中京区、京都造形芸術大出身=の作品は、どくろと蛇、彼岸花をモチーフに「誰にでも多かれ少なかれあ る、内面の毒や狂気」(松本さん)を表現した。会場には中京区の老舗友禅工房「岡重」所蔵の大正・昭和初期の羽裏30点も展示され、実行委員長でグラ フィックデザイナーの久谷政樹さん(74)=左京区=は「羽裏の過去から若い感性による未来までを通して、新たな伝統の魅力を発見してほしい」と話す。
「進化する琳派・羽裏展」は19日まで。無料。