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2025.10.18 講座:京都の空間遺産―社寺に隠された美の作法


魅了する空間に仕組まれたデザイン手法を解き明かす

京都の空間遺産―社寺に隠された美の作法

到達目標と講座概要
 京都の魅力とはなんでしょう。多くの人が惹かれる空間には見えない意匠が仕組まれています。歴史的建造物や文化的環境の魅力をデザイン手法の学びとともに再考しましょう。
 人類史上、京都ほど都として永続した都市はありません。「KYOTO」が世界屈指のブランドである所以の根底には、この国と都を愛した人たちの計り知れない匠(巧み)の継承が潜み、その重層感を肌身で感じ取れるからなのかもしれません。また、グローバライズした近代以降の世界観においても、京都の「デザイン性」は時代や地域を超えて問いかける輝きと示唆を含んでいます。
 この授業では、空間を対象にしたデザイン研究が少ないことから独自な手法で研究しながら様々な創作活動もしてきた立場から、一部のデザイン手法には限られますが、京都の社寺を紹介しながら日本固有の造形手法について講義します。特に、地理的にも歴史的にも技術的にも恵まれた京都の位置づけと、都市計画、建築、庭園、祭礼儀式などでの造形意匠に焦点を当てて解説したいと考えています。

10月18日(土)
 「古都」と言われる京都での文化遺産の貴重さについて論じた上で、京都の町並みや社寺空間での祭礼など、京都の空間をさまざまな視点から調査検証した成果をまとめた拙著『京都の空間遺産』、『京都 しつらいの空間美』、『仕組まれた意匠』の3冊を参考に概説します。
 そして、「京都らしさ」を視覚的に捉える1つの観点を紹介した上で、風景に馴染みながらも生活の営みとは無関係に洗練してきた京都の歴史建造物を事例に、そこでの精神性や「大和比」などの造形手法などについて解説します。
事例紹介:哲学の道、上賀茂神社・社家町、大徳寺高桐院、下鴨神社・糺の森、音羽山清水寺・本堂など

【第1回】13:20-14:40 空間美を求めて
【第2回】14:50-16:10 「京都らしさ」ってなんでしょう
【第3回】16:20-17:40 京都に放つ黄金矩形の舞台

10月19日(日)
 日本には自然への敬いが研ぎ澄ませた「しつらい」があり、移ろう季節への慈しみが生み出したカタチがあります。悠久の歴史を超えて今に伝える「所作」は、日本での生活に無くてはならないコトであり、惹きつけられずにはいられないモノです。この見えない魅力こそが習慣が育んだ美意識です。
 花見に観月、茶事に祭事・・。今回は、遊びに彩られた歴史建造物や名所での空間を事例に、空間手法を読み解く愉しさに満ちた社寺空間について解説します。
 主な事例:音羽山清水寺・本堂、東山慈照寺・観音殿、北山鹿苑寺・鏡湖池など

【第4回】9:30~10:50  相克のてりむくり
【第5回】11:00-12:20 花の見方に作法があるなら
【第6回】13:20-14:40  月待ちのながめ
【第7回】14:50-16:10 うつろう未生の美
【第8回】16:20-17:00 流れのダイナミズム、まとめ
 ※各コマは進捗によって扱うテーマが前倒し/後ろ倒し、さらには変更する可能性がある。